| 知っておきたい[構造] スポーツ傷害を知るためには、その基本となるからだの構造を知ることが大切です。とくに、スポーツ傷害では、骨と筋肉、腱などだけではなく、それらで形作られる関節も問題となります。それぞれの詳しい名前をおぼえる必要はありませんが、どの部分がどのようにダメージを受けたかを想像できると、治療や予防を理解しやすくなるでしょう。 |
| 痛みますか?[症状] “痛い”“腫れている”といったはっきりした症状だけでなく、“なんとなく変だ”“いつもとちがう”といった場合でも、大きな傷害を起こしていることもあります。また、ぶつかったり、ひねったりということで突然起こるものだけでなく、長いあいだ酷使することで起こってくるものもあります。 |
| こうしておこる[外傷] ねんざや骨折、脱臼など、からだに外から大きな力が瞬間的に加わって起こってくる、いわゆる“ケガ”のことです。傷害を起こした部位が、痛くなったり、腫れてきたり、熱くなったりしますが、ケガ直後に症状が出なくても、しばらく時間がたって症状が現れることもあります。 |
| こうしておこる[障害] 慢性的な腰痛や腱鞘炎、野球肩など、運動量や強さが、からだの許容範囲を超えたときに起こってくるものです。必ずしも痛みや腫れをともなうわけではなく、“なんとなく調子が悪い感じ”という形で現れることもあります。 |
| 段階ごとの[治療] 治療法は、大きく●一般的治療 と ●リハビリテーション この2つにわけられます。 ●一般的治療 一般的治療は、どの部位の傷害にもほぼ共通のものです。 1)RICE: 受傷直後の治療の基本です。患部を安静に保ち(必要に応じてテーピングや装具で固定しましょう)、スポーツの後アイシングを行います。 2)薬 炎症を抑えたり痛みを和らげたりする薬で、ぬり薬、はり薬、のみ薬にわけられます。 3)注射 炎症を抑えるために、主にステロイドホルモンが用いられますが、多用すると組織がもろくなってしまうので、ドクターとよく相談する必要があります。 4)手術 骨がぶつかる部分や傷んだ組織を切除したり、再建したりと、外科的処置が必要なこともあります。 5)物理療法 寒冷・温熱・電気・レーザー治療などで、組織の炎症を抑えたり、血行を促したりしながら、組織の修復能力を活性化します。 ●リハビリテーション その内容は、傷害の部位や種類によって異なりますが、基本となる考え方は共通です。以下に、その基本の考え方を説明します。 受傷からスポーツ復帰までのリハビリテーションは次のように3段階にわけられます。 1)治療期: 受傷した部位の回復(局所的治療)に主眼がおかれ、炎症を抑え、痛みをとりのぞき、関節の柔軟性を確保することが主体となります。 2)調整期: 受傷部位の回復だけでなく、スポーツ動作のなかでの、全身と受傷部位のバランスや調整に目を向けます。 3)強化期: 受傷した部位の状態が落ち着き、ほかの弱い部分も改善された後、全身的強化を行う時期で、パフォーマンスの向上とスポーツ復帰後の傷害予防にもつながります。 では、それぞれの段階では具体的にはどのようなことがおこなわれるのでしょう? 1)治療期:受傷した部位の回復(局所的治療) ◎受傷した部位の近くの関節を柔軟に保ち、関節の動きを確保します。 ◎炎症が治まった段階から、受傷した部位の筋力を強化します。 ◎筋力・全身持久力の維持:リハビリ期間を通して言えることですが、患部に影響しない部位は積極的に動かし、筋力・全身持久力を保つことが、早く競技に復帰するためのキーポイントです。 ◎はり・マッサージ:痛みを軽くしたり血液の流れをよくしたりするので、場合によっては効果的といえます。 2)調整期:全身的バランスや調整を考えたうえでの、受傷部位の回復 ◎筋力強化:患部の周囲を中心とした筋肉を、軽い負荷でバランスよく強化します。 ◎ストレッチング:患部およびその周囲と、全身の柔軟性を維持、増進しましょう。 ◎協調性訓練:コントロールされた全身のスムースな動きや、患部に無理のかからない一連の動きなど、各関節の協調性を体得していきます。 3)強化期:受傷部位を含む全身的強化と、スポーツ復帰してからの傷害予防 ◎筋力強化:競技復帰のための全身筋力のパワーアップと、筋持久力の獲得をめざし、パワーアップには重い負荷で回数を少なく、筋持久力増加のためには軽い負荷で回数を多く、が原則です。 ◎パフォーマンスの確認:フォームや用具の見直しをします。たとえば、野球ならば、投球フォームがおかしくないか、シューズは合っているかなどをチェックします。 以上のような段階でリハビリテーションはすすめられますが、同じ部位の傷害でもその種類によって方法は変わってきます。具体的方法については、[g:ストレッチ][h:筋力強化][i:テーピング・装具など]を、参照してください。 |
| 再発にも注意[予防] どの部位についても、傷害を受けた部分の ●局所的管理 だけではなく ●全身的管理 ●スポーツ的管理も必要になります。体力十分な強いからだをつくることが、なんといっても基本です。 ●局所的管理 1)アイシング:スポーツ終了直後は、とくに痛みがなくても15〜20分冷やしましょう。 2)保温:ふだんから、血行をよくするために、衣類、サポーターなどで保温をこころがけましょう。 3)オーバーユースを避ける:投球などの同じ動作を何度も繰り返さないようにして、オーバーユースによる過労を防ぎましょう ●全身的管理 1)十分な休息と睡眠: 運動すると、ミクロのレベルで筋肉やさまざまな組織が壊れます。十分な休息と睡眠をとることで、その部分が修復され、エネルギーも蓄えられます。 2)適切な栄養: 食は、すべての基本です。とくに筋肉の中心的構成成分のたんぱく質、エネルギー源の炭水化物、からだのはたらきをコントロールするビタミン、ミネラルを適量摂取するようにしましょう。 3)水分摂取: からだの60%は水分です。スポーツの最中だけでなく、その前後に、冷たすぎなくて、吸収されやすいスポーツドリンクなどの水分を十分摂るように気をくばりましょう。 ●スポーツ的管理 1)毎回のウォーミングアップ: からだと筋肉の温度を上げて、より柔軟性を高め、筋肉のはたらきと反応をよくすることが目的です。ストレッチングはいきなり行うよりも、軽いジョギングやウォーキングなどの全身運動のあとに行ったほうが、効果的です。 2)毎回のクーリングダウン: 運動を行ったあとでは、筋肉は、充血し消耗した状態にあります。ある一部分に集まった血液を全身にまわし、疲労物質の排出を促す効果があります。クーリングダウンを怠ると、筋肉は、硬く短くなったままでかたまってしまい、けがをしやすくなってしまいます。ストレッチングや柔軟体操をして筋肉をほぐし、また十分な休養をとり、筋肉をしっかり回復させることが大切です。 3)テーピング: 筋肉のはたらきを良くし、無理のない動きを引き出すことで、パフォーマンスを上げます。 4)用具: プロテクター、シューズ、ラケットなどが、からだに合っているかチェックしましょう。 5)全身の筋力強化: 個々の関節運動は、全身の筋肉に支えられています。より高いパフォーマンスのためには、全身の筋力が必要となります。とくに体幹筋力(胴体の筋力:腹筋、背筋、殿筋)は、動作を安定させるために重要です。 6)全身の柔軟性: 筋力同様、全身の柔軟性があってこそ、個々の関節のしなやかな動きが発揮されます。 |
| [ストレッチ] 治療でも予防でも、筋肉の柔軟性を高めることがポイントです。その具体的な方法がストレッチングで、それぞれの部位ごとに、具体的な方法を解説しています。1つの動作に対して、“20数える”くらいの時間を使ってゆっくり行います。また、“痛い”というところまで行うことは厳禁です。 各部分の前に、必ず全身のストレッチングからはじめてください。
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| [筋力強化] 傷害を受けた部位は、動かせるようになったら、少しずつ筋力を回復させていくためのトレーニングが必要になりますが、傷害を受けていない部位についても、早期から筋力を落とさないよう、筋力強化が必要です。また、傷害を起こさないためにも、ふだんから筋力を高めておくことが大切です。ここでは傷害を受けた部位ごとに説明していますが、あわせてそれ以外の部位もご覧ください。 |
| [テーピング・装具など] 傷害を受けた直後は、その部位を動かさないように固定する必要があります。また、傷害を受けた部位を保護しながらスポーツを続ける場合にも、テーピングや装具が必要なことがあります。ここでは、傷害を受けた部位ごとに、主なテーピング方法や装具を紹介します。 |